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Memoir

Chika☆の『航空見聞録』

2016年12月25日 ウイスキーパパ競技曲技飛行チーム 内海氏によるエクストラ曲技飛行体験

2016年最高に嬉しかったこと、16年というより人生最高に嬉しかったことは、内海さんの曲技飛行をウイスキーパパのエクストラ JA14WPで体験させて頂いたことと、ウイスキーパパの広報担当としてメンバーに入れて頂いたことです。

 

 

2015年12月25日(日)晴れ おりしもクリスマスの日

毎週末、内海さんやGionが乗り込み、飛び立っていく岡南飛行場にて、いつも見ている彼らのようにパラシュートを背負いエクストラEA-300L JA14WPに乗り込む。

 

そこは常人が立ち入ることのできない場所-エクストラのコックピット

 

人生初でたぶん最後の体験。シートベルトを両肩と腰にきつく締めてもらう。体がシートにがちがちに縛り付けられると緊張感と高揚感が高まっていく。静かにキャノピーが閉められ、機体にパワーが入る。しばし地上とお別れし、内海さんとエクストラと共に大空へ飛び立つ。

 

初めてのエクストラでのフライト。とても滑らかで氷の上をすーーっと滑っているような飛び心地。そして、なんといってもキャノピーからの眺めは涙が出るほど美しい。左右、真上、自分の周囲180°に何も遮るものがなく、頭上には真っ青な空、眼下には地上の景色が広がるその光景は何物にも代えがたい。たくさんの雲を追い越し、雲が頭上をあっという間に駈け抜けていく光景がとても美しくて気持ちいい。エクストラは真っすぐ飛んでいるだけでも本当に楽しい最高の機体なのだと、しばし最高のフライトを満喫。

数分後、「これよりCS3に入ります」内海さんが管制に話すボイスが聞こえてくる。計器板横のグリップを握る手に力を込める。

空は真っ青、眼下には紺碧の海が広がる。いよいよだ、体に緊張がみなぎる。

 

①   ベルトチェックの為背面飛行

 「それでは背面飛行を行います」内海さんの声が聞こえる。

 体が右下や真横にぐっとひっぱられたような感じがして、そうしたら体の前に海があって地球が自分の下にある。

 体の前に海があるような感じがするのはなんでなんだろう。エクストラの前席でキャノピーだからなのかな。

 体が思い切り下にひっぱられて、脚も体も浮いている。うわっ背面!と思ったら元にぐりんとひっくり返って、

 あっという間に背面飛行から元に戻っていた。おぉ、どきどきするけど楽しい!

 ベルトがゆるいので締めてくださいと内海さんから。がちゃがちゃ腰のベルトを必死で締める。

 背面時に身体を固定するものは腰のベルトだけ、良く分かった。おもいきり締め付ける。

 内海さんは一回のエアショーで骨盤にあざができると言っていた。

 

②   3.5G 体にやさしい宙返り(お客様用宙返り)

 着陸後、これが“体に優しい”宙返りだと知った。確かにこのあとの4.5Gの競技用宙返りは1G違うだけなのに衝撃が全然違う。

 1Gの重み、体重一つ分、うーん重い。

③   バレルロール 右左

 身体に優しい宙返りより少し優しい感じがする。ロールへの入りが斜めだからなのかな。

 空も青くて、海も青いし、Gも常にかかっていて、滑らかにロールし出すと、自分が今どの姿勢なのか分からない。

④   4.5G 競技スタイルの宙返り

 うっ!また宙返りと思い、反射的に体に力が入る。頭から急に真後ろに激しく引っ張られる。

 あとはなすがまま、いろんな方向からかかり続ける衝撃に耐えるだけ。

 うう~宙返りが一番いやな感じかも、でも楽しい!だってひっくり返ってる!!!

⑤   ハンマーヘッド(セスナのハンマーヘッドと全然違う!!)

 空へ向かってすごいスピードとパワーで突き上げる。突き上げきったところで体がふわっと一瞬浮いたような気がした。

 左を向くと、海面に浮かぶ白い船が自分の垂直真下に見える。うわっと思うと、頭から海上へ向かって突っ込み元に戻っていた。

 ひょえーーだけど楽しい!

⑥   ロール(ふつうのロール(らしい)。高度を変えないロール)・・・もはや何が何か分からない。

⑦   5Gサステイン(維持旋回)

 「大丈夫そうなので、次は5Gサステイン行います。大丈夫かな。戦闘機のパイロットとかがやっているやつね」とボイスが入る。

 戦闘機のパイロット・・・体験したい!!とにかく耐えるしかない。

 脚と頭がそれぞれ別の方向に激しくひっぱられ、激しい力にねじ伏せられるような、味わったことがない激しい衝撃が体にかかる。

 ぐぐぐぐぐ体がぎしぎしびりびりする。もしブラックホールに吸い込まれるならこんな感じ?!体がぺしゃんこになってなくなりそう。

 すごい圧。激しい。耐えるというより、何もできない。動けない。押し付けられる。打ち負かされる。なんだこの力は!

 内海さん!こんな状態で操縦しているの!私指一本動かせないのに!とにかく激しい!とにかく凄い!

⑧   4ポイントロール

 びしっびしっと各ポイントで止める度に体にくる!このびしっが下で見ているとたま

 らなくかっこよくて、びしびし決まっていると、おおーかっこいい!!と見ていたの

 だが、とにかく切れがいいほどバシンバシン体に衝撃が来る。体にくるということは

 機体にもきているんだろうな。エクストラすごい。整備!頼むよ!!

⑨   テールスライド

 もう機体がどう動いているのか何が何だかわからない。ただ一番頂点で体がふわっと

 重力がなくなったような感じがして、その後、いきなり激しく後ろにひきずり戻され

 る感じ。そのあとよく分からない。。。

⑩   スナップロール(4回)

 初めて「手と首を固定して」と言われた。首?と思った瞬間、頭にがんっときて頭が

 後ろにもっていかれ首がちぎれそうになる。首をまっすぐにしていると耐えられない

 のでとっさに横にすくめるようにしてただただ耐える。とにかく激しい衝撃。何がど

 う動いているのか全くわからない。ただただ激しい衝撃だけが分かる。今までの曲技

 で一番の衝撃。スナップロールってこんなに激しいの!!!元の姿勢に戻っても数秒

 間まだ頭がくるくる回っている。このスナップロールを何回も、そして右にも左にも

 上にも下にもしてるの!!!凄すぎます。絶句。

 

 

体中に衝撃を受け曲技飛行の体験が終了。私が耐えられる寸前、恐怖を感じない寸前、感激した頂点のところで終了してくれた。岡南飛行場へ帰投する機内、衝撃の余韻を感じながら、放心状態、でも最高に感動して、感激して、言葉が出ない。

憧れの内海さんの曲技飛行を体験できた感動、今まで知ることのできなかった曲技を体験した感動、そしてなんなんだろう。あの力。

今まで感じたことがない大きな力を感じた感動。先日、ヨットでクルージングした時、波や風を読み、地球を相手にしているのだなと普段感じることがない「地球」を感じとても爽快だった。曲技飛行の時に感じたあの衝撃・いろんな方向から感じる凄い力、今まで感じたことがない果てしなく大きい何かを感じた。あれは「地球」の力?でも地球だけじゃない何か果てしない力、人間の力も感じたし、航空機の力も感じたし、私にはしっぽが捕まえられない。

 

あの激しい様々な力が押し寄せる中、航空機の性能の限界、自分の限界に挑戦し制御し曲技飛行を行うパイロット。内海さんは「曲技飛行は誰にでもできる、スターじゃない」というけれど、本当に凄い、最高にかっこいい。そして、曲技飛行の魅力は果てしない。

 

「曲技飛行は通常飛行の延長で特別なものではない」「知識と技術の水準は多少上がるにせよ、安全性に違いはない」と内海さんは言う。「内海さん!本当に多少なの?」と曲技を終えて聞いてみたが、やっぱり「ね!多少でしょ」と笑うだけ。

 

大空を自由に飛ぶって最高に激しい!!きっと人間の極致、人間の目指す最高峰の一つなのだろう。

きっとそれが空のロマンというやつなのか、それが究極の飛行-曲技飛行なのか。

早くまた内海さんの曲技飛行が見たい!Gionのも高木さんのも!きっと今まで以上の感激だろうな。

空を自由に飛べるってやっぱり凄い!やっぱり楽しい!!最高です。

2016.12.31 Chika☆

***

ウイスキーパパ競技曲技飛行チームは、競技曲技飛行普及の為、競技者と曲技を学ぶ有資格者の方へ内海氏の同乗による訓練を行っております。基本的に体験搭乗的な運用は行っておりませんが、曲技の体験を希望される方へは、比較的安価に体験・訓練可能な米国の飛行学校をご紹介しています。私は今回WPの広報担当として、今後の広報活動に活かすために特別に同乗させて頂きました。

ウイスキーパパ競技曲技飛行チーム:http://www.aerobaticteam.jp/index.html

2016.12.25

Whisky Papa Competition Aerobatic Team

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